茹だるように暑い夏が今年もやってきた。
なんて使い古された定型文から書き始めてしまったが、毎年夏が来る度脳裏に浮かぶ言葉ではある。せめて視覚的にも涼やかになりたいと思っている人もいるのでは?ということで店でも扱っているチェコのガラスベースについて書くことにした。

イタリアのベネツィアングラスと同じぐらいガラス工芸が盛んだったのがチェコのボヘミアングラスで、豊富な天然資源と高い技術により世界的ガラス工芸の地位を確立している。ベネツィアングラスと大きく異なるのは宝石をカットするエングレーヴィング技術をガラスにも用いたところだ。チェコで採取できる良質な原料により硬度の高いガラスの製造ができた為、直接模様を彫り込むようになったのだ。それが先ほど記述したエングレーヴィング技術である。ボヘミアングラスの花器を見ると、そのカッティングの繊細さには驚かされる。

実際に手に取ってみると彫刻されてあることが分かる。

更に面白いのが、18世紀後半になると、中国に影響を受けた金のデザインや黒のスタイルを取り入れたことである。どことなく東洋の雰囲気を感じさせる和洋折衷感がとても良い。

写真に写っている赤い花器はまさにそうだ。

また、アール・ヌーボースタイルが流行している時には花や植物の絵付けが施されている花器などもあり可愛らしい。

掠れている箇所もあるが絵付けの装飾が美しい。

と、ここまでボヘミアングラスの特徴や魅力を簡単に記述したが、先人たちの工夫や創造に思いを馳せながら花器を眺め、この暑い夏を乗り切るのも一興ですよ、なんて提案をしてみようと思う。

写真右端、オレンジ色の花器もボヘミアングラス。